隠喩のような女たち/ただのみきや
こう
さもなければ倒れてしまえ
道連れに醜悪な食卓ごと叩き潰して
火と水による散華録
焼け爛れた秘密を
影のように縫い付けて
カンバスの中のあなた
傷んでゆくマルメロ
十二月の雨が消し忘れた戯れ
いとけなくすぼめた唇
湖の底の焼失家屋
瞑る目と目を重ねた
祈りに満たない冷たい温もり
*
労わるように記憶のネガを食む
小さな炎 蝶の夢よ
ゆっくりと炎上してゆく
箱舟を見上げながら
わたしたちは
霙に溺れる二つの青い瞳だった
秘密
棺に満ちる白菊のよう
清らかさから醸される
姉の 生々しい匂い
《2020年12月12日》
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