隠喩のような女たち/ただのみきや
 
から探り当てた
ルビーの鼓動 生命の借用書
有無も言わさず掻き切って
奪い 奪って移動する 
砂の身体
化粧鏡の向こう
潜んだまま
暗示を誘い合う
美しい不安の傾斜角
蛍光灯的永遠の昼下がり
唇が見ている
そこに咲くように





その人を譬えるなら

眼差しの手管を逃れ
虚空に絡みつく
継目のない宝石よ
差し込む光のように開く
鋭利な雌蕊から
甘く 苦い
緩慢な死の芳香

あるいは
とても人懐こく見えて
打算もなく
素直に自分だけ愛している
凪いだ肉体に
小さな帆のような
機敏な耳





カケス

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