母が壊れてしまったあの日から/
 
つかった時にはもう手遅れに近い状態だった。

それを聞いた時、私は当然動揺し、悲しみ、怒り、「何故」という思いにかられた。
しかし、そうした混乱がひとまず収まった時、どこかほっとしている自分を発見して愕然とした。


「これでまた、逃げられる。」



・なんだったんだろう


宣告を受けてからの母の様子は、表面的には思ったより落ちついているように見えた。
でもそれは、全てを受け入れていた、というような綺麗な理由ではなく、事実を受け止めきれずに呆然としていたのではないかと思う。

母が入院してから、大学が比較的近かった私は毎日のように病室へ通った。
会話は何気ない
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