S氏の記録(短編小説)/月夜乃海花
 
に傷をつけてみたんです。すると、真っさらな顔に赤い線が付いて、たらり、と赤い液体が流れました。これで僕は人間なのだと認識できました。ああ!化け物なんかじゃない!あいつら、のっぺらぼうと違う!俺は人間だ!俺は人間だ!俺は、?そういえば、僕って誰でしたっけ。まあいいか。もういいか。大したことないですもんね。みんな燃えて死ぬんだから。良いですよね。面倒だし。あはは!ああ、もちろん『貴方』の顔ものっぺらぼうですよ。でも、口の動きで困惑してることくらいはわかります。良いんです。それで良いんです。それでこそ、人間ですから、良いじゃないですか。もう良いじゃないですか。終わりにしましょうよこんな話。もう俺、疲れた
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