S氏の記録(短編小説)/月夜乃海花
 
いに同じ、なのです。誰かが死んだら、勝手に悲しいと言い出して数時間後にはウケると笑って、ただそれだけですよ。政府は何もしない、こうあるべきだ、混沌とした単純な台詞がたらたらと並んでいてまるで事典をあいうえお順から淡々と読んでいるようでだんだん吐き気がして、トイレで吐きました。といっても、唾しか吐き出せませんでしたが。しばらく、ベッドに座って窓を見たら雪が降っていてそういえばそんな時期かぁ、なんて思って親に電話したくなって。久々に親に電話しました。親と電話したら、声はきちんとそのままで安心しました。安心してその時、久々に号泣しました。『どうしたの、帰ってきても良いからね』という声を聞いた途端に自分の
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