S氏の記録(短編小説)/月夜乃海花
うにがあ、があと。余りにも恐ろしくて、その時は自転車に乗って逃げました。そして、家について煙草を何本か吸って寝ましたよ。次の日からです。周りの人間がみんな同じようにまっさらのつるつるの粘土のように顔が無いのです。それでも、最低限の個性を発するように口が開くときちんと台詞は聞こえるんです。でも、それに集中できなくて。だから、声だけではなく、顔以外の服装で判断することにしました。ですが、それでも限界はありました。人が多いところに行けば行くほど、同じような粘土人間が歩いてるんです。同じ服を着て、スマホを弄る者もいれば誰かと話してる者も居るけれど、同じなんです。同じ、同じなんです。ああああああああ!きっと
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