詩の日めくり 二〇一四年十一月一日─三十一日/田中宏輔
断面にできる
二〇一四年十一月二十五日 「小鳥」
猫の口のなかで
噛み砕かれた小鳥の死骸が
元の姿にもどって
猫の口から出て
地上から木の上にもどった
小鳥は
幾日も幾日も
平穏に暮らしていた
河川敷の
ベンチの後ろの
藪のなかに捨てられていた
錆びた鳥籠が
もとの金属光沢のある
きれいな姿になっていった
小鳥が
子供が待っている
鳥籠のなかに背中から入っていった
子供は鳥籠の扉を閉めて
後退りながら
鳥と鳥籠を家へ持ち帰った
二〇一四年十一月二十六日 「卵病」
卵の一部が
人間の顔に
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