詩の日めくり 二〇一四年十一月一日─三十一日/田中宏輔
ありのかわいい男の子が大きなバッグを背負いながらやってきたんだけど、かわいいなあと思って顔をみたら、近づいてきたから、ええっと思って避けて急ぎ足で通り過ぎたんだけど、振り返ったらふつうに歩いてたんで、べつにヨッパでもなく、なんだか、損した気分。声をかければよかった〜。こんなんばっかし。数年前には、電車のなかで、かわいいなあと思って顔を見たら、にこって微笑まれて、びっくりして、見なかったふりして、場所をかわったんだけど、それもあとでは損した気分。もっと積極的にせなあかんのになあと思いつつ、53才。もう一生、出会いはあらへん感じ、笑。「神々が味わいたいのは、動物の脂身と骨ではなく、人間の苦しみなのよ。
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