詩の日めくり 二〇一四年十一月一日─三十一日/田中宏輔
ジャズ、ロック、ラテンといったものが好きだった。サンバやボサノバをよく錦市場のところにあった「木下」という喫茶店で聴いた。家でも聴いていたが、父親は、その喫茶店のアイスコーヒーが好きで、ぼくもよく連れて行ってもらった。「ここのママはレズビアン。」と言っていた。大学生のときに、「ママって、レズビアンなの?」って訊いたら、「よく言われますけど、レズビアンじゃありません。」と言っていた。どうだったんだろう。そのお店にはレズビアンって感じの女性や、見た目あきらかにゲイのカップルがよく行ってたから。父親は、そんな雰囲気が好きだったのだろう。父親の頭のなかでは、ゲイやレズビアンは、人生をちょっぴり違った味わい
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