悲しみは理由を求めている/ただのみきや
 

同世代の盗掘者たち
冬の鴉の眼の中の幻想の炎が
白く嵐のように膨張する
わたしたちは熟し切った眼球
溶け落ちて
夜になる前に闇になる





自分

後付けされたものすべて
剥いで削いで取り去って

時代的文化的背景
――忘れてしまえ

家系や家族の影響
呪縛やトラウマ
――自由になって解放されて

すべての教育
影響や憧れ
――アクセサリーや勲章を外すように

人生にきつく食い込んだ鎧兜
思想や処世術
――その場で脱ぎ捨てろ

社会的責任や世間体
――背荷物を下ろすように

いつからか身に付いていた仕草や口癖
――完
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