詩の日めくり 二〇一四年十月一日─三十一日/田中宏輔
 
きた
見ると
向かいの席に坐ってた人の頭の横からも
血まみれのひよこが
ひょこんと顔をのぞかせた
あちらこちらの席に坐ってる人たちの頭から
血まみれのひよこが
ひょこんと姿を現わして
つぎつぎと
電車の床の上に下りたった

二〇一四年十月二十三日 「十粒の主語」

とてもうつくしいイメージだ。
主語のない
という主題で書こうとしたのに
十粒の主語
という
うつくしい言葉を見つけてしまった。

ああ
そうだ。
十粒の主語が、ぼくを見つけたのだった。
どんな粒だろう。
きらきらと輝いてそう。
うつくしい。

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