詩の日めくり 二〇一四年十月一日─三十一日/田中宏輔
 

おしゃべりの半減期。
沈黙の半減期。
恋ごころの半減期。
恋人の半減期。
チョコレートの半減期。

二〇一四年十月二十一日 「魂」

 魂が胸のなかに宿っているなどと考えるのは間違いである。魂は人間の皮膚の外にあって、人間を包み込んでるのである。死は、魂という入れ物が、自分のなかから、人間の身体をはじき出すことである。生誕とは、魂という入れ物が、自分のなかに、人間の身体を取り込むことを言う。

二〇一四年十月二十二日 「卵病」

コツコツと
頭のなかから
頭蓋骨をつつく音がした
コツコツ
コツコツ
ベリッ
頭のなかから
ひよこが出てきた
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