詩の日めくり 二〇一四年十月一日─三十一日/田中宏輔
 
、このニューヨーク博覧会に行くことになった。

 ひえ〜、これって、ウイリヤム・バローズの『裸の審判』の1〜4行目と、まるっきりいっしょよ。完全な贋物だ。ああ、どうしよう。完全な贋物。ふざけた代物に、8000円。どうしよう。相手はキャンセルしていいと言ってた。ううううん。マニアだから買いたいと返事した。あ〜あ、このあいだ買った『裸の審判』と中身がまったく同じ本に8000円。バカだなあ、ぼくは。いや〜、バロウズのマニアなんだよね、ぼくは。しかし、この出品者、正直なひとだけど、最初の設定金額を8000円にしてるのは、なんでやったのかなあ。バロウズのこと、あんまり知らなかったひとだったら、そんなバ
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