詩の日めくり 二〇一四年十月一日─三十一日/田中宏輔
 
たほうをうえに立てて置かれている。
卵の上に蝶がとまる。
卵は微塵も動かなかった。
しばらくして
蝶が卵のうえから飛び立った。
すると
万里の長城が
ことごとく
つぎつぎと崩れ去っていった。
しかし
卵はあった場所にとどまったまま
宙に浮いたまま
微塵も動かなかった。

二〇一四年十月十七日 「ウィリアム・バロウズ」

下鴨に住んでたころ
十年以上もむかしに知り合ったラグビー青年が
バロウズを好きだった。
本人は異性愛者のつもりだったのだろうけれど
感性はそうではなかったような気がする。
とてもよい詩を書く青年だった。

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