詩の日めくり 二〇一四年十月一日─三十一日/田中宏輔
と言っていたきみ。
あの丸められた雪つぶては
いまもまだそこに
下鴨の明るい月の下にあるのだろう。
あの寒い日の真夜中に。
子どものようにはしゃいでいた
ぼくたち二人の姿とともに。
二〇一四年十月十五日 「風の手と、波の足。」
風の手が
ぼくをまるめて
ほうりなげる。
風の手が
ぼくをまるめて
別の風の手と
キャッチボールしてる。
風の手と風の手が
ぼくをキャッチボールしてる。
波の足が
ぼくをけりつける。
すると
違う方向から打ち寄せる波の足が
ぼくをけり返す。
波の足と波の足が
ぼくをけり合う。
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