詩の日めくり 二〇一四年十月一日─三十一日/田中宏輔
 
かけてドアを押して、開けさせないようにした
雪の積った日の夜に
真夜中に
「雪合戦しようや。」と言って
ぼくのアパートの下で
積った雪を丸めて投げ合った
真夜中の2時、3時ころのことは
ぼくは一生忘れない。
だれもいない道端で
明るい月の下
白い雪を丸めては
放り投げて
顔にぶつけようとして
お互い、一生懸命だった。
そのときのエイジくんの表情と笑い声は
ぼくには、一生の宝物だ。
毎晩のように押し合ったドア。
毎晩、なにかを忘れては
「とりにきた」と言って笑っていたきみ。
毎晩、
「もう二度ときいひんからな」
と言
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