詩の日めくり 二〇一四年十月一日─三十一日/田中宏輔
大の数学科をやめて
京大を受験しなおして
京大の建築科に入学したのであった。
親が建設会社の社長だったこともあって。
だから
きみと出会ったときの
きみの年齢は28だったのだった。
きみは京大の4回生だった。
ぼくたちは、一年近く毎日のように会っていた。
ぼくが仕事から帰り
きみが、ぼくの部屋に来て
ふたりで晩ご飯を食べ
夜になって
ぼくが眠りにつくまで
寝る直前まで、きみは部屋にいた。
泊まったのは一度だけ。
さいごに、きみが、ぼくの部屋に訪れた日。
ピンポンとチャイムが鳴って、ドアを開けようとすると
きみは、全身の体重をかけ
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