詩の日めくり 二〇一四年九月一日─三十一日/田中宏輔
 
まる。時間も溜まらない。場所も溜まらない。出来事も溜まらない。時間も溜まる。場所も溜まる。出来事も溜まる。

二〇一四年九月二十三日 「家でできたお菓子」

 ヘンゼルとグレーテルだったかな。森のなかに、お菓子でできた家がありました。といった言葉ではじまる童話があったような気がするけど、ふと、家でできたお菓子を思い浮かべた。

二〇一四年九月二十四日 「愛」

 二十歳の大学生が、ぼくに言った言葉に、しばし、こころがとまった。とまどった。「恋人と別れてわかったんですけれど、けっきょく、ぼくは自分しか愛せない人間なのだと思います。」

二〇一四年九月二十五日 「過ちは繰り返すため
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