詩の日めくり 二〇一四年九月一日─三十一日/田中宏輔
 
たからね。」
「なんの取材ですか?」
「包丁です。高松で、包丁をといでらっしゃる方の横で、ずっとインタビューしてました。」
ふと、思い出したかのように、
「あ、うつぼを食べましたよ。おいしかったですよ。」
「うつぼって、あの蛇みたいな魚ですよね。」
「そうです。たたきでいただきました。おいしかったですよ。」
「ふつうは食べませんよね。」
「数が獲れませんから。」
「見た目が怖い魚ですね。じっさいはどうなんでしょう? くねくね蛇みたいに動くんでしょうか?」
「うつぼは底に沈んでじっとしている魚で、獰猛な魚なんですよ。毒も持ってますしね。 近くに寄ったら、がっと動き
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