詩の日めくり 二〇一四年九月一日─三十一日/田中宏輔
 
屋の天井の隅に、小さな雲が浮かんでいて、しょぼしょぼ水滴を落としてた。これか、これが雲蜘蛛なんだなって思った。見てたら、ゴロゴロ鳴って、小さな稲妻をぼくの指のさきに落とした。ものすごく痛かった。しばらくしてからもビリビリしていた。

二〇一四年九月十四日 「真実と虚偽」

 真実から目をそらすものは、真実によって目隠しされる。虚偽に目を向けるものは、虚偽によって目を見開かされる。

二〇一四年九月十五日 「湖上の吉田くん」

湖の上には
吉田くんが一人、宙に浮かんでいる

吉田くんは
湖面に映った自分と瓜二つの吉田くんに見とれて
動けなくなっている

湖面は
吉田く
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