命焔屋 〜蝋燭の焔の魂〜(短編小説)/月夜乃海花
端なのじゃ。蝋燭が小さかったり、焔が燃えてても消えかかったりしてな。ここで管理すると綺麗な色になるんじゃがな。お主の場合は別だったの。最初からこんな色をしていたのじゃよ。」
じっと、自分の命焔の色を眺める。赤と青、まるで夕焼けと夜の青が混ざったような色だ。
「こういう色は何と呼んだっけのぉ。」
「茜色です。」
「そうなのかの?」
「確かですが。僕の妹が茜という名前でした。茜というもの自体は植物の紅色なのですが、夜の色と混ざった時の空は『茜色の空』と呼ばれます。」
老人はふむふむと頷いている。
「お主にぴったりの色じゃの。」
「そうですかね。」
「そういえば、その子犬とお主の命焔を
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