返り討ちに合った復讐者/ただのみきや
 
うつけもの

わたしの頭は憂鬱の重石
悩みの古漬けぎっしりと





しゃくりあげて

願いは鳴いた
言葉を知らない鈴のように
子の骨を咥え 風の狐が走る
芝草を一斉に可愛がりながら

  *

毒に酔って色を汚し
花弁も裂け八重に乱れて

満たない端数の気持ち
知らない無数の願い

掌と目合って苦い蜜
太陽が目を細める頃に

  *

水彩の灰
つぶらな鳥の眼の
奥の奥に広がった
青い空と
あの雲の向こうは
同じだろうか

なんど確かめ
慰められても
見通せないその先を
石の顔で堪えている
わななく心臓
[次のページ]
戻る   Point(5)