『終わらない黄昏』掌編/道草次郎
おいでよ。もう一度話をしよう。ケビンのことは、本当に、お互い辛かったけど、ぼくは君のことだってほんとうに大事なんだ。一人で、ほっとけないよ」
「勝手なこといわないでよ、ジョン。ケビンはもう大人だったのよ。そしてみずからの判断で火星の暮らしを選んだの。社のマニフェストは読んだでしょう?あなたは、いつだって自分のことしかかんがえてないんだわ。もう切るわね。」
我々は常に、彼らから見たらそれが細い糸の数本縒りあわさったような形のある種の字引を持ち歩いている。その字引には様々な生命形態の様々なパターン化された行動形式のごく詳細な記述が載っている。我々はこの、彼らのうちの二個体である、モニカなる
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