詩の日めくり 二〇一四年八月一日─三十一日/田中宏輔
 
、ぼくである。ぼくとは、ゴリラであったのだ〜と叫んで、弟の子どもたちとふざけ合って、部屋じゅう追いかけっこして騒いでいたら、突然、部屋のなかに入ってきた弟に叱られた。ちょっとイヤな気がした。

二〇一四年八月六日 「死父」

 朝、死んだ父に脇腹をコチョコチョされて目が覚めた。一日じゅう気分が悪かった。

二〇一四年八月七日 「寝るためのお呪(まじな)い」

羊がいっぴき、羊がにひき、羊がさんびき……
羊がいっぴき、羊がにひき、羊がさんびき……
羊がいっぴき、羊がにひき、羊がさんびき……
一晩中、羊たちは不眠症のひとたちに数えられて
ちっとも眠らせてもらえなかったので
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