詩の日めくり 二〇一四年八月一日─三十一日/田中宏輔
ので、しまいに
怒って、不眠症のひとたち、ひとりひとりの頭を
つぎつぎと、ぐしゃぐしゃ踏んづけてゆきました。
二〇一四年八月八日 「寝るためのお呪(まじな)い、ふたたび」
棺がひとつ、棺がふたつ、棺がみっつ……
棺がひとつ、棺がふたつ、棺がみっつ……
棺がひとつ、棺がふたつ、棺がみっつ……
一晩中、死んだ父親が目を見開いて棺から
つぎつぎ現われてくる光景を見ていたので
まったくちらとも眠ることができなかった
二〇一四年八月九日 「空気金魚」
人間の頭くらいの大きさの空気金魚が胸びれ腹びれ尻びれをひらひらさせながら躰をくゆらし、尾びれ背びれを優雅にふりま
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