無花果の木に無花果の実がなる頃に/こたきひろし
に屋号みたいに付けられて呼ばれていた
たとえば桶屋に石屋
これも何代か前、葬式があると棺桶作ったり、墓石に名前彫ったりしてた家の名残りだったらしい
他にも、いわぶり 上 なかみち 観音様などがあった
いわぶりは三姉妹の一番上の嫁ぎ先だったがその由来は意味不明だった
他に男二人がいて合わせて五人の子供がいた
私の所の三軒は瀧屋と呼ばれていた
瀧屋の内の本宅新宅分家と言う訳だ
ちなみに本宅は地主様 新宅は製麺所と精米業を生業にしていたのに
分家の我が家は単純に貧農に過ぎなかった
家の前の細い通りの先は堀があってすぐ近くの川から水が引かれて流れていた
水は新宅の
[次のページ]
戻る 編 削 Point(12)