遺失の痣/ホロウ・シカエルボク
 
きりとはわからないがドクターヘリのようだった、そういえばこの近くにヘリポートのある病院が建ってたか、友達はその病院をやたらと嫌っていた、そういえば蕁麻疹持ちのやつだったな、体調不良で退職したらすっかり良くなったって笑ってた、このまま海を見に行くのはよくない気がする、俺は踵を返した、元来た道を帰ろうとして、いままで気にしたこともない小道が気になった、迷子になるのもいいかもしれない、あるいは、長く歩いた挙句行き止まりになって引き返すようなありさまでもいい、それは街中で言うなら、古い住宅地には必ずある路地裏のような道だった、両側には背の高い雑草がただただ生えているばかりだった、もともとは何かがあったのか
[次のページ]
戻る   Point(3)