どうしてこんなに暗いのかしら/ただのみきや
どうかあの冷たい秘密が孵らずに
互いの半身を交換できますように
そうしてわたしが
縫い合わせることもできない
青白く剥離しかけた魂を
襤褸布みたいに寒々しくし
吹雪の丘にぽつんとあった
今はもうない廃屋の煙突のように
虚空を見上げてこと切れますように
そうして泥土に沈むひとつの頭蓋
内側に釘やガラス片で刻まれた
謎々として見つけられないまま
あなたの夢の花壇から匂いますように
そうしてそれ以上に
あなたが行う拷問の
おろし金でじゃりじゃり擦られ
顔も名前も紛失し
狂おしく飢えてあなたを探しますように
この黄色いキ印が凍結されたまま
死が新鮮を保ちますように
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