詩の日めくり 二〇一四年六月一日─三十一日/田中宏輔
そして誰もがナポレオン」と同様に、思い出されるたびに、もしかしたら、作者などどこにもいないのではないだろうかと思わされるのである。
二〇一四年六月二十八日 「洪水」と「花」
そのときどきの太陽を沈めたのだった。
これは、ディラン・トマスの『葬式のあと』(松田幸雄訳)という詩にある詩句で、久しぶりに彼の詩集を読み返していると、あれ、これと似た詩句を、ランボオのもので見た記憶があるぞと思って、ランボオの詩集を、これまた久しぶりに開いてみたら、『飾画』(小林秀雄訳)の「眠られぬ夜」の?の中に、つぎのような詩句があった。
幾つもの砂浜に、それぞれまことの太陽が昇り、
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