詩の日めくり 二〇一四年六月一日─三十一日/田中宏輔
 
誠実さのことであり、言葉に対する誠実さのことである。

二〇一四年六月二十六日 「メールの返信」

出したメールにすぐに返信がないと、お風呂かなと思ってしまう初期症状。
出したメールにすぐに返信がないと、寝たのかなと思ってしまう中期症状。
出したメールにすぐに返信がないと、寝たろかなと思ってしまう末期症状。

二〇一四年六月二十七日 「そして誰もがナポレオン」

 作者はどこいるのか。言葉の中になど、いはしない。では、作者はどこで、なにをしているのか。ただ言葉と言葉をつないでいるだけである。それが詩人や作家にできる、唯一、ただ一つのことだからである。言葉はどこに存在しているのか
[次のページ]
戻る   Point(15)