詩の日めくり 二〇一四年六月一日─三十一日/田中宏輔
 
を着て寝ることにした。」などと。また、日記を書いている人物が途中で入れ替わったりすることも、正当な日記の条件から外れるであろう。もちろん、SFや幻想文学でないかぎり、日記の作者は、人間でなければならないであろう。創作としての日記、すなわち、それが日記形式の文学作品というものであったなら、多少の虚偽を交えて、作者がそれを書くことなどは当然なされるであろうし、読み手も、書き手の誠実さを、ことの真偽といった側面でのみ測るような真似はけっしてしないであろう。
 そうである。日記、あるいは、日記形式の文学作品というものにいちばん求められるものは、作者の誠実さといったものであろう。もちろん、文学に対する誠実
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