詩の日めくり 二〇一四年六月一日─三十一日/田中宏輔
は、一日の幅を越えることはないはずである。したがって、日記だと、その一文と一文とのあいだに置いておける最長時間というものは、二十四時間ということになる。いや、ふつうはもっと短いものにしなければならないであろう。たとえば、こんなふうに。「朝起きて、トイレでつまずいた。夜になって新しいパジャマを着て寝ることにした。」などと。もしも、これが日記でなければ、単に起きたことを時系列的に列挙していくだけだとしても、一文と一文とのあいだに置くことのできる最長時間には制限がないので、たとえば、こんなふうにも書くことができるであろう。「朝起きて、トイレでつまずいた。それから二百年たった。夜になって新しいパジャマを着
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