詩の日めくり 二〇一四年六月一日─三十一日/田中宏輔
る反抗心と知的な洗練度には、いま読み返してみても戦慄する。さて、日本の詩人で、知的な詩人と言えば、ぼくには、西脇順三郎くらいしか思いつかないのだけれど、現代に知的な詩人はいるのだろうか。ぼくの言う意味は、十二分に知的な詩人は、だけど。ホラティウスの詩でもっとも笑ったのは、自分がつくった料理のレシピをただただ自慢げに開陳しているだけという料理のレシピ詩と、自分の知っている詩人の実名をあげて、その人物の悪口を書きまくっている悪口詩である。ほんとに笑った。彼の詩論的な詩や詩論はすごくまっとうだし、ぼくもおなじことを思っていて、実践している。詩語の廃棄である。これができる詩人は、現代においてもほとんどいな
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