この全部、クソッタレなじぶんさ/道草次郎
みずから埋設されていく
汲み尽くされた笑みの井戸の底に
棚引く
ダークネスの豊穣
キッチンの
子供たち
洪水はことの他親密なのね
シュタインと名のつくものはみな
早足の男の子と
決まっているのねと独りごちて
夫人は夫の欽定版を水鶏に与える
夫人はシナイ山のつもりで
背中にはモーセとゼラニウムを
植え育てている
古今も東西も支離も滅裂も
いなされた駿馬の心筋あたりに耳をあてれば
ただのながれ去る笹舟に過ぎないの
夫の帰りを待つ東雲
一瞬の時間すら夫人には惜しい
惑溺という野花が根を下ろすのは
深い静けさをたたえた湖や論文に中には無いから
それは
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)