この全部、クソッタレなじぶんさ/道草次郎
 
い」

ああ書けない
かけない
やっと来たぞこの素晴らしき時が
こうしてやっと
よんでいくことが叶う
分断されたものが
かくも永きに亘る離別をさとり
今こうして
調和を図ろうと心付く
調和は
或いは詩の死滅かもしれない
しかし
それでも構わない
調和こそ求めていたもの
調和こそ
久しく正しくおそられていた
ものなのだから



「或る夫人の肖像」〜ヴぁーじにあ・うるふ女史

客間で意識を手にした夫人が
天才の革張りを生命に裁縫している
チクリ
ブラックベリーの染みのような血液
血小板の数値を等価式に還元し
ふたたび小鳥のような器用さに

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