怨念の赤い糸/ただのみきや
 

水洗トイレから逃れるための箱舟工作

不眠症の脳は相変わらず空を浮遊し
粉砕された頭蓋の堆積からなる氷の大地に
舞い降りた一羽のオウムの錯乱と
黒塗りの神話の朗読劇を見下ろしている

それが詩人であれ先史時代のラジオであれ
極めて内向的な幽霊であれ
記号の指輪と記号のピアスと
空気を揺らさない呪文で繋がった
虚構的都市生活では鴉の迷惑行為にすぎず
抹殺する手間暇と天秤にかけられたまま
静止的識別を得ようとすることで増していく
眩暈の中で ふと靴の先に見つけられてしまう
抜け落ちた一本の羽根の黒の青さ





おんねん芸者

首から上がない
[次のページ]
戻る   Point(6)