怨念の赤い糸/ただのみきや
天使のような子どもが手を振ろうと
死んだ祖父母がにっこり笑おうと
恐ろしいほど人は小さい
あの綿菓子を覗くには
望遠鏡より顕微鏡
等身大の夢を探索するミクロの決死圏
雲を眺めていた
良いことのように思えた
だが良し悪しはいつも後出しで
そうしたかった それで十分
羽根
小鳥たちの官能と
黴のように青い月の頬骨
鼻腔を満たした霧の朝
枝分かれした時の先端で
手袋をしたままの雄蕊と雌蕊が発火する
誰かが言葉を投げつけると
それは雪玉みたいに大きくなった
叫びながら後を追うサッカー下手のデモ隊を
素早く過去へと押し流す
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