怨念の赤い糸/ただのみきや
 
慰めて苦痛を紛らわすのは理想さん
二人はティーンエイジャーのカップルみたいに
べったりいつも一緒だったけど 悲しいかな
蒸発するのはいつも理想さんの方

人は神の子にはなれない
だからと言って蟻にもなれない
宗教はアヘン 然り 共産主義はエタノール
労働者は酒場で夢を見る






雲を眺めていた
良いことのように思えた
海や山を眺めるのと同じように
無垢な心持ちの気がして

比較するものがなければ
綿菓子みたいに掴めるが
こう山の上を流れていると
今更ながらでかさに呆れてしまう

人が雲に乗ったところで
地上からは見えはしない

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