眉のあたりにすずしさの残る少女みたいに/須賀敦子とその「詩集」について/渡邉建志
 
スラーの白い空から』(佐野英二郎)についての書評であなたは書いた。佐野さんは作家ではなくひとりの商社マンで、知人の個人誌や、業界の専門誌に寄稿した原稿を、死後、友人がまとめて出したのがこの本だった。だからいちどは本人の意志で外に出された文章ではあるのだが、それでも改稿したかっただろうに、と思いやる。「ぎらぎらした気持で書かれたのではない本」だからよいのだ、と書評に書いているし、さらには(よほど気に入ったのだろう、)テレビ番組の対談でも取り上げ、「こういう書き手がひっそりとどこかにいる」「世に出ようと思って書いた文章ではないということに、とても打たれました」と語る。『バスラーの白い空から』は、あなた
[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(2)