眉のあたりにすずしさの残る少女みたいに/須賀敦子とその「詩集」について/渡邉建志
る、まだ新しい感動が、ここに響いていて、その名前の響きが須賀に与えるイメージ(それは、遡ること6年、1953年にパリに向かう船の中で見たカラブリアの海のこと、メッシーナ海峡の色に感動したことを思い出しながら膨らまされたイメージかもしれない)を、素早く、字の美しさなどにわき目もふらず、スケッチとして描きとめたのではないか。だからこそ、「アマンテアでは」という行は、こんなにもすぐに、繰り返されたのではないか。それは、リヴィアの名前についても同じことが言える。文字が再び乱れはじめる「リヴィアは、/栗色の髪の/夕星の瞳の」そして二枚目に移ってから、また「リヴィアは」と続く。リヴィアを近い行間で二回繰り返す
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