眉のあたりにすずしさの残る少女みたいに/須賀敦子とその「詩集」について/渡邉建志
 
熱と
水底の靜けさの晝(まひる)をつれて。
私はふたたび
すべてを
しっかりと
両手に にぎりしめ
菩提樹の香に咽せながら
燃えさかる
大地に
うっとりと
立つ。

無題の詩。活字版の題名「(あゝ/とうとう)」は手稿にないため省略した。引用のスペースの置き方は、活字版に合わせた。だが、またしても半角スペースのような小さな息のようなスペースが、至るところにある。「無限の ひかりと」や、「水底の 靜けさの 晝(まひる)を つれて。」や、「私は ふたたび」や「菩提樹の 香に むせながら」といった、四音節ずつ、あるいは五音節ずつの息の入るところにそれは存在しており、や
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