眉のあたりにすずしさの残る少女みたいに/須賀敦子とその「詩集」について/渡邉建志
/あいに/じっと/くちづけする」というリズムとフレーズを私は忘れないだろう。編集者は、最後の「くちづけする」に句点をつけて「くちづけする。」としている。でも、巻頭の手稿写真に句点は打たれていないように見える。おそらくは、第一連と第二連の最後に句点が明確に書かれているから、一貫性のために編集者は、それらに合わせて最終連の最後に句点を追加したのだと思われるが、私には、須賀が手稿で「くちづけする」のあとを句点で閉じず、ただ、しずけさへと開いておいたことが、たいせつなのではないかと思う。
{引用=
あゝ
とうとう
おまへは
また
やってきた。
無限のひかりと
草を焦(こ)がす熱と
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