こぎつねとまんまるお月さま(童話)/月夜乃海花
うね。」
こぎつねはお月さまを見つめます。
「さてはおまえ、『おせんべい』だな!」
こぎつねは力をふりしぼって、お月さまに飛び付こうとします。でも、なかなか届きません。「あきらめるもんか!ぼくは母さまと『おせんべい』をたべるんだ!」
こんこん!と鳴く声と空にとびはねる黄色い姿。そして夜空で輝くお月さま。それはそれは不思議な光景でした。
「ただいま。」
遠くから大好きな声が聞こえます。
「母さま、おかえりなさい!」
「きちんとおうちで寝てないとだめでしょう?」
「みてみて!お空に『おせんべい』がいるんだよ!」
こぎつねは空を指さしました。
「あれは『おつきさま』とい
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