こぎつねとまんまるお月さま(童話)/月夜乃海花
」
こんこん!とこぎつねは鳴き続けました。それでもお月さまは何も言いません。
よく考えると、母さまの話には続きがあることを思い出しました。
「でもね、すべてのにんげんがこわいわけじゃないのよ。」
「そうなの?」
「私が小さくて、お腹を空かせてたときにね、目の前に人間がいたの。あの時、私は死んでしまうなと思ってしまったの。でもね、そのにんげんはまんまるなおやつをくれたの。」
「まんまるなおやつ?」
「『おせんべい』というらしいの。とてもふしぎな味で今でも忘れられないの。また、いつか食べてみたいと思ってるのよ。」
「ぼくもたべてみたい!」
「そうね。いつかいっしょにたべましょうね
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