こぎつねとまんまるお月さま(童話)/月夜乃海花
ん追いかけて、手でつかんでみます。しかし、その冷たい妖精は溶けてしまいます。
「どうして、居なくなってしまうのだろう。」
こぎつねは悲しくなりました。母さまも居なければ、友だちになれそうな妖精すらも居なくなってしまったのです。
こぎつねはこーん!と鳴きました。でも、その音は雪にかき消されてしまいます。
「母さま、母さま。」
こぎつねは涙をこぼしました。何もできない自分、そしてひとりぼっちな自分にあまりにもあまりにもこらえきらなくなったのです。
すると、夜の空にぽっかり大きなお月さまが居るではありませんか。
お月さまはじっとこちらを見るようにまんまるく、黄色く光っている
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