ほんの、少しだけ濡れた/ホロウ・シカエルボク
 
なんでもよかった、なんならナックだって…アヴリルだってそんなに悪くない、とにかくきちんとギターを弾いてるバンドが聴きたい気分だった、ザ・バンドの曲名が書かれた小さなバーの看板を見つけたが、もう閉めるところだった、一杯でいいんだが、と駄目もとで頼んでみると、自殺したボーカリストそっくりに着こなした店主は快くOKしてくれたー「そういうこというやつって本当に飲みたがってる人だから」というのが理由だった、「明日は休みだしね、どうってことはないよ…帰ったって寝るだけだし」それから俺たちはなぜかディランの話ばかりした、店主は「川の流れを見つめて」が好きだと言った、俺が好きなのは「珈琲をもう一杯」だった、そして
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