ほんの、少しだけ濡れた/ホロウ・シカエルボク
はないと分かっていたし、第一そんなみみっちい真似をしてすっきりすることなんて死んでもやりたくなかった、俺はただどこか、音楽の流れる店に腰を下ろして、少しの間静かに飲んでいたいと考えていたんだ、数少ない馴染みをいくつか訪ねたけれど、ひとつは潰れていて、ひとつは看板が変わっていて、ひとつはただ閉まっていた、気まぐれに味方してくれるやつなんてそんなにいない、まあ、そんなことは、いやというほど分かっちゃいたけどねーブルースのカバーをリリースしてから妙に白けてしまったストーンズを久しぶりに聴きたいと思った、でもそいつは家に帰るまで我慢することは出来た、AC/DCでも、コリー・ハートでも、ZZーTOPでもなん
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