僕と誰かの狂詩曲(ラプソディー)/月夜乃海花
に投げつける。ビロードの絨毯に紫の染み。
「アンタのお陰で確かに家はお金持ちにはなったわ。でもね、私は孤独だった。ずっとずっと独りだったのよ。」
男は頬から血を流し、女を睨み付ける。
す
「『素敵なお家ね、素敵な家族ね、なんて羨ましい。』、嫌なほど言われてきたわ。でも、私は幸せじゃなかった。私は最初からアンタとアンタの家族が大嫌いだったの!でも、婚約させられた!全部両親あいつらのせいよ。」
女は調度品、愛していた植物こどもたちを壊し始めた。紫に散らばった緑の破片。
せ
「せめて、私は普通の暮らしがしたかったの。お金持ちになんかならなくてよかった。普通に愛されて、子供と一緒に幸
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