僕と誰かの狂詩曲(ラプソディー)/月夜乃海花
 


「どうか彼女に安らぎを。」

………

What is Virtue of Untitle Thing?
名すら付かぬ善とは如何なるものや?


「過去に罪を犯しました。」
黒いベールに包まれた未亡人は淡々と告げる。
「私(わたくし)は夫を殺したのです。」
これは懺悔室での記録だ。


「気づけば私(わたくし)もこんな年齢になりました。」
淡々と告げる女の掌は黒のレースの手袋で隠されていた。
「あの頃は幸せになれると思ったのです。」


「癖のように父は言い続けました。『生きている上では幸せで居なければならないのだよ、わかるかい?』、私にはそれが当
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