僕と誰かの狂詩曲(ラプソディー)/月夜乃海花
 
だ、謝ることしか出来ない母。
身体が弱かったせいでほとんど外に出られなかった娘が不憫だった。
「いいんだよ、ママはがんばったよ。」


部屋には器具の音だけ響いている。
「あのね、パパがむかえにきたよ。」
「何を言ってるの?」
「パパ、おかえりなさい。」
「待って、待って!」
娘は笑顔になる。窓を見ながら。
「おそときれいだね。」


「ほんとうはママとパパとおててつなぎたかったな。でもね、右手はパパがにぎってくれてるの。」
無言で母は娘の左手を握りしめる。
「いまね、すごくしあわせだよ。ママもパパもクマさんもいる。何にもこわくないよ。」
心音が止まる。振動は
[次のページ]
戻る   Point(2)